====== WSL2 CentOS7のインストール ======
--- //[[http://www.y2sunlight.com|y2sunlight]] 2020-12-08//
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関連記事
* [[wsl2:install|WSL2 インストール]]
* [[wsl2:command|WSL2 コマンドリファレンス]]
* [[wsl2:interop|WSL2 LinuxとのWindowsの相互運用性]]
* [[wsl2:clone|WSL2 ディストリビューションの複製]]
* [[wsl2:terminal|Windows ターミナル]]
リンク
* https://github.com/wsldl-pg/CentWSL --- WSL用のCentOSダウンロードサイト(GitHub)
本章では、WSL2でのCentOS7のインストールについて説明します。現時点(2020-12-08)で、WSL用の CentOS は Microsoft Store で公開されているにも関わらず、有償でしかも公式でもなく、レビューもついていません。従って、[[https://github.com/wsldl-pg/CentWSL|GitHub]]から入手してインストールします。
本章でインストールするCentOS7は以下の通りです:
* CentOS 7.6
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===== ダウンロード =====
以下のサイトにアクセスします:
* https://github.com/wsldl-pg/CentWSL/releases
ここではWSL用の各種CentOSが配布されています(感謝です!!)。
本章では、WSL2にCentOS7を設置するので、[[https://github.com/wsldl-pg/CentWSL/releases/tag/7.0.1907.3|7.0.1907.3]] をダウンロードします。
[{{:wsl2:centos7:wsl2-centos701.png?nolink}}]
■ ''CentOS7.zip'' をクリックしてzipファイルをダウンロードします。
=== インポート用のファイルの作成 ===
zipファイルの中には、以下のファイルが含まれています:
CentOS7.exe
rootfs.tar.gz
''wsldl-pg/CentWSL'' のドキュメントによれば CentOSのインストールは、''CentOS7.exe'' で行うようになってますが、本編では、''wsl'' コマンドを使ってインポートします。これは、他のLinuxディストリビューションと同じ運用方法にしたいからで、それ以外の理由はありません。
ダウンロードしたzipファイルを解凍して ''rootfs.tar.gz'' を取り出し、分かり易い名前に変更して、所定のフォルダに移動します。本章では、以下のファイルをWSL用のCentOS7のインポートファイルとします。
D:\WSL2\Exports\CentOS7.6.1907.tar.gz
> ''wsl'' コマンドは ''tar.gz'' もインポートしてくれるようなので、tar-ballに変換せず、このままで使用します。
\\
===== インポート =====
''wsl --import'' コマンドを使って、先に保存した tar.gz ファイルをインポートします。
PS C:\> wsl --import CentOS7.6 D:\WSL2\Packages\CentOS7.6.1907 D:\WSL2\Exports\CentOS7.6.1907.tar.gz
''wsl --import'' コマンドに関しては本編の「[[wsl2:clone#インポート|WSL2 ディストリビューションの複製]]」を参照して下さい。
''wsl -l -v'' でディストリビューションの一覧を表示し、インポートを確認します。
NAME STATE VERSION
* Ubuntu-20.04 Stopped 2
CentOS7.6 Stopped 2
\\
===== 起動 =====
先にインポートした ''CentOS7.6'' を ''wsl -d'' コマンドで起動します。
PS C:\> wsl -d CentOS7.6
この時、Power Shell が bash に切り替わりCentOSが利用できるようになります。
以下のコマンドでCentOSのバージョンを確認してみましょう:
$ cat /etc/redhat-release
CentOS Linux release 7.6.1810 (Core)
PowerShell に戻るには、''exit'' または ''logout'' コマンドを使います。
$ exit
\\
===== CentOSの初期設定 =====
この段階では、ユーザは root しか存在しません。以下は全てrootユーザから設定している例になります。
==== 管理者(root)のパスワード設定 ====
rootユーザのパスワードが分からないので、最初に設定しておきます:
# passwd
\\
==== 新しいユーザの追加 ====
ユーザを作成します:
# adduser --shell /bin/bash y2sunlight
作成したユーザにグループを追加します:
# usermod -G adm,wheel,dialout,cdrom,floppy,audio,video y2sunlight
これらのグループは、必要に応じて追加・削除して下さい。''wheel'' グループは ''/etc/sudoers'' の設定で必要なグループです。
ユーザ情報を確認します:
# id y2sunlight
uid=1000(y2sunlight) gid=1000(y2sunlight) groups=1000(y2sunlight),4(adm),10(wheel),11(cdrom),18(dialout),19(floppy),39(video),63(audio)
\\
==== /etc/sudoers ====
開発用のローカルサーバなので、rootで運用しても良いですが、''sudo'' の設定もしておきます。''viduso'' を実行して ''/etc/sudoers'' の ''wheel'' グループの箇所を書き換え、''sudo'' でパスワードが不要になるように設定します:
$ visudo
## Allows people in group wheel to run all commands
- # %wheel ALL=(ALL) ALL
+ %wheel ALL=(ALL) ALL
## Same thing without a password
- # %wheel ALL=(ALL) NOPASSWD: ALL
+ %wheel ALL=(ALL) NOPASSWD: ALL
この設定で ''wheel'' グループに入っているユーザは、''sudo'' でパスワードが不要になります。
==== パッケージの更新 ====
パッケージを最新の状態に更新します:
$ yum -y update # パッケージを最新に更新する
これ以降、Ubuntu には ユーザ ''y2sunlight'' でログインして操作します。
\\
===== Windowsの初期設定 =====
==== PowerShellからの起動 ====
PowerShellから起動するには以下のようにします。
PS C:\> wsl -d CentOS7.6 -u y2sunlight
* ''-d'' でディストリビューション名を指定してす。
* ''-u'' でユーザ名を指定してす。
Windowsターミナルをご利用の場合は、[プルダウンメニュー]から[CentOS7.6]を選択できます。
\\
==== Windows ターミナルの設定 ====
Windowsターミナルを起動し、[プルダウンメニュー]から[設定]を選択します。
''setting.json'' を開き、"name" がインポート時に指定したディストリビューション名( "CentOS7.6" ) と同じターミナルを探し、その設定を以下のように変更して下さい。
{
"guid": "{3d07c9ba-2e59-5661-841e-864e56bf1b8e}",
"hidden": false,
"name": "CentOS7.6",
"source": "Windows.Terminal.Wsl",
+ "commandline": "wsl.exe -d CentOS7.6 -u y2sunlight",
+ "startingDirectory": "//wsl$/CentOS7.6/home/y2sunlight"
},
* ''"commandline"'' --- 起動コマンドを指定します。\\ ここでは、''-d'' でディストリビューション名を、''-u'' でユーザ名を指定してす。
* ''"startingDirectory"'' --- シェル起動時の開始ディレクトリを指定します。
\\
===== 登録解除 =====
インポートした CentOS を登録解除(アンインストール)するには、''wsl --unregister'' コマンドを使います。
PS C:\> wsl --unregister CentOS7.6
このコマンドには、実行の確認がないので、注意して下さい。実行されると直ぐに、登録解除され、CentOS のイメージは削除されてしまいます。
\\
===== この後について =====
本章では、この後に、Apache と Docker を CentOS7 で動作させる予定でした。しかし、いざ向き合ってみると systemctl が正常に起動しないという問題に出くわしました:
# systemctl status httpd
Failed to get D-Bus connection: Operation not permitted
この問題の原因は、WSL2がLinuxのブートシーケンスの中で、初期プロセス(''プロセスID = 1'')を ''Systemd'' でなくて、''SysV init'' を使っていることに起因します。従って、この問題の解決には2つの方法があります:
- systemctl を Systemd に依存しないものに置き換える
- 初期プロセス を ''Systemd'' に置き換える
この問題の解決方法についは、ネットのいろいろなサイトで説明されていますが、筆者としては、「ここまでしてCentOSで構築する必要があるのか」という疑問が湧いてきました。
従って、開発環境の一部としてWSL2を利用するという観点では、現時点で、Ubuntu を利用し CentOS は用いないというのが筆者の結論です。しかし、CentOS などの RedHat系Linuxは、運用で実績も多く、開発環境と同じ運用環境を使用したいニーズもあると思いますので、今後も、WSL2でのCentOSの導入に関しては注視することにしたいと思っています。
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